【人権が21世紀経済を支配する☆分析その2】

soesan2008-08-26

我がブログ読者の皆さんコンニチワ 腹巻です。

昨日のエントリーでお伝えした

聖火リレーでなぜあれだけ中国人がナショナリズムに燃えたのか?
>海外にいる情報がある中国人でさえ中国政府の味方をした。

これにはある理由が隠されていました。
中国通の部員の話を要約します。

・中国は一人っ子政策の影響で子供にかかる期待が物凄く大きい。

・熾烈な学歴競争 親の援助 その見返りを当然、親は期待する。

・首都大卒(海外大卒)でも就職先が無い場合もある。

・地方の就職先を1流大学卒が占めて地方の若者があぶれている。

中国版氷河期世代と言えるでしょう。
(日本と中国の氷河期世代が時にナショナリズムで対立する現象は非常に興味深いです。いずれコミューン・プロスペクタス(CP)=社会情勢分析学の題材として分析してみます)

中国でもニート(噛老族)や失業率の問題が社会問題となっています。


【社会】新華社
・2005年時点で16歳から35歳の3.62%、1216万人がいわゆるニートNEET)になっているという。
        

彼らは中国政府の言う所の「不満分子」予備軍になるわけです。

常に鬱屈した社会への不満を持っていると考えてよいでしょう。

そして昨日お伝えした中国政府の少数民族への政策が絡んできます。


【社会】WEDGE 9月号

・中国政府は経済発展の恩恵さえ与えれば少数民族の不満を解消できると思っていた。90年代末に「西部大開発」と呼ばれる大規模な開発政策を実行し、その象徴的な存在として2006年7月1日青海チベット鉄道が完成した。(一部省略)


少数民族への大学入試優遇(実際の実情は全くの不明ですが)
・中国が稼いだ経済力の少数民族地域への投資
・中国の若者の就職に対する圧倒的な不安


これらが、中国の若者の胸中にない交ぜになって聖火リレーでのナショナリズムの爆発になっていきます。
海外の大学にいる中国人留学生でさえも中国政府を擁護していました。
その背景には経済的効果における中国政府の少数民族優遇だと思われます。

ここが中国人的と言えるのですが

目に見える効果=得  

「鉄道とか目に見える事やってんのに何が文句あるわけ?!私たち(漢民族)だって苦労してんのになんで責めるのよ!」

と、なるのでしょう。

人権問題を金銭や物質でどうにかできると思っている事がそもそもの根本的な間違いなのですが・・。

ちなみに、少数民族地域の全人口における割合の数字や欧米諸国から報告されるオープンソースをCPで分析しても少数民族が特別に優遇されているとは到底、思えません。


中国政府はこの少数民族対策に失敗したように見えますが得たものもあります。

・鉄道開通による資源輸送
・国内の不満分子予備軍のガス抜き・中国政府への支持
・国内基盤を固めることによって対外への強硬路線

【社会】
・23日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)の社説は、「(中国当局が五輪成功を)影響力の増大に使い、国内統制を強化する危険もある」と警告した。


前日のエントリー冒頭をご覧ください。
これらの証明がオリンピック開幕での56の少数民族演出に表れています。
(残念ながら、これを真剣に伝えた日本のメディアはゼロでした)


そして、中国政府は不満分子予備軍が政府の味方のうちに経済力をさらに上げ雇用や、それに伴う資源、消費物資を確保しなくてはなりません。

そうです。
中国にとって支配地域を手放すことは武力行使してでも防ぎたいことなのです。
その地域つまり「資源」が何よりも大事なのです。

・「資源」の為には、その地域の「人」などいらない。

例えばこう読み取ることも可能です。

そして欧米諸国はそのことを当然ながら理解し対策を立てています。

「人権問題は経済を支配する」

コミューン・プロスペクタス(CP)で分析すれば中国政府は人権問題で絶対に譲れないのです。人権問題で1つでも支配地域を失えば外内の両方から攻勢を受け瓦解する恐れがある。
支配地域を失う=経済力の低下=国内不満分子の増加

解放地域は1つで十分。

これは欧米諸国の狙う所でしょう。
【社会】
・「中国は五輪招致の際、表現の自由の拡大や人権問題の改善を約束した。われわれは今、その約束がウソだったことを知った」。22日付の米紙ワシントン・ポスト(電子版)は「獄中の五輪」と題した社説で、人権や報道・言論の自由に対する中国政府の対応をこう批判し、「中国は『弾圧』でも金メダルを取った」と厳しい調子で非難した。



・連鎖解放を狙い中国国内から自主的に民主化運動を再燃させる。

これはコスト的にも効率的にも政策的にも道理です。
民主化は「その国の人間が自らが行う」ことが世界的な大原則です。
そして解放地域支援に注目してください。

チベット仏教文化が強く「イスラム色」がほとんどありません。
つまり、欧米諸国にとっては独立したとしても脅威にはなりにくいのです。
欧米諸国にとって脅威ではないということは自由経済主義を基盤とした市場が開かれ資源獲得に参加できることを意味しています。
反対に、中国との軋轢のあった国は「売らない」という選択も可能です。

資源は21世紀において絶対の力です。


「人権」を理解する者が勝つのか。
「人権」を制す者が勝つのか。

日本は「人権」をどう解釈し外交戦略にしていくのか。

今後もCP分析を続けていきたいと思います。


ー次項は、グルジア紛争から見るアメリカ大統領選☆分析