【新冷戦構造】大戦の幕開け

soesan2008-09-25

【経済】
・金融不安はロシアを変えるか(9/22)
グルジア紛争を機に米欧との対決色を鮮明にしていたロシアの強硬姿勢に変化の兆しがみえてきた。きっかけは、にわかに広がってきた国内の金融不安である。

ロシア金融市場では通貨ルーブルが下落し、株式市場でも先週は主要株式指数のRTSが終値ベースでほぼ3年ぶりの安値を付けた。今年5月の年初来高値と比べると6割近くも急落した。

主因は米国発の金融危機の影響だが、他の新興市場と比べても最近の株式相場の下げはきつい。主要輸出品である原油天然ガス市況の頭打ちに加え、グルジア紛争に伴う政治的リスクが投資家の嫌気を誘っているのは明白である。紛争後にロシアから流出した投資資金は200億ドル前後に上るとの試算もある。

ロシアは現在、5000億ドルを超える豊富な外貨準備高を抱える。現時点で金融危機が再燃するとの見方はほとんどないが、市場の動揺は米ソ冷戦時代と異なり、ロシアが世界経済に組み込まれている現実を浮き彫りにしたともいえる。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20080921AS1K1900620092008.html



☆ロシア市場にも【経済弾丸】が撃ち込まれています。
自滅の感のあるアメリカ金融市場ですがロシアはアメリカのあおりを喰らったというよりもグルジア紛争における強硬発言や資源供給諸国への強硬行動発言が市場に影響を及ぼしている側面が非常に強く「世界経済の一員である」という自覚を半ば強制的に認識させられている状態です。

本当の弾丸【武力戦争】にも今はさほどメリットがありません。
アメリカ、EU、ロシアと新冷戦主要国は軒並み国内経済事情で手一杯です。
つまり、各国が同じ問題を抱え皮肉にも「バランス」が非常に上手く取れている状態です。

「バランス」が取れている間にあえて紛争を起こすメリットありません。
今は各国とも起こるべく新冷戦に向けて国内の状態を修復し、備えるべき【武力戦争】に準備を進める段階です。

アメリカ、ロシア、EUの狙いはほぼ同じです。

・自国通貨の安定と相手国通貨の破壊的下落


この【経済弾丸】はユーロ建てにしようとしたフセイン政権に激怒したアメリカがイラク戦争を起こした事を考えれば中途半端な【武力戦争】よりも圧倒的に破壊力があります。
ロシアもルーブル価値を上昇させ、ドル駆逐を狙っていました。


ロシアは本来、破壊的金融不安を巻き起こしているアメリカ市場の将来を読み取れれば、グルジア紛争における資源問題において強硬発言ではなく、EUとの協調戦略、旧CIS諸国との融和的外交をベースにするべきでした。

ifですが現在の混乱状況のアメリカと混乱がない市場のロシアとでは「パワーバランス」が圧倒的に違うことになります。
この「バランス」が大きく違う場合には【武力戦争】もしくは【経済弾丸】をちらつかせる程度のことで相手国を屈服させていた可能性があります。


ロシア市場に【経済弾丸】を撃ち込んでいる「資金が豊富な勢力」は想像の範疇を越えませんが、ロシアの台頭による影響をすぐに受けやすい位置にある国で、アメリカ型自由主義経済で今まで大きく稼いできた勢力と推測するのは妥当だと思われます。



強いもの同士は決して、ケンカをしません。
旧冷戦構造ではお互いがあまりに強大すぎて手が出せませんでした。
強弱の差異がはっきりしてから【武力戦争】は起きるのです。

つまり、相手が弱ければこちらの被害が最小、勝てるから【武力戦争】をする。

非情ですが国家戦争においては事実です。
損失予測が戦争利益を上回る段階では決して、戦争は起こりません。

その為の準備が着々と進行していくだけです。

【国際】日経 9/25
・EU ロシア依存下げ

フランスのクシュネル外相は23日、天然ガスなど主要なエネルギー調達先であるロシアとの関係について「原子力などエネルギー効率を上げEUはロシアへの依存度を引き下げるべきだ」と強調。

一方で「ロシアとの信頼関係の構築がEUの総意だ」と対話を重視する考えを表明
グルジア紛争を機に「新冷戦」が始まるとの見方を否定した。


☆EUもロシアもアメリカも「今は」戦争が出来ない状態。
深層的には新冷戦構造が始まっているにも関わらず表面的には新冷戦構造を認めるわけにはいかないのです。
今【武力戦争】をやるにはあまりに消費が大きすぎるのです。
戦争はあくまで外交政策の1つの手段にすぎません。

確実に国益と利益が取れる算段あってこそするべき政策です。
そしてその来る新冷戦幕開けの準備は着々と進んでいるのです。