【拉致被害者年内に数人帰国!か?! ☆分析その2】

soesan2008-08-28

コンニチワ 腹巻です。日本のNGOの青年が射殺されてしまいました。
タリバーン関係とのことですが犯行声明がとにかく絶望的です。
日本人が考える善意が全て否定されているような声明文でした。

非常に鋭い解析をされているブログがあったのでトラックバックに。
個人的には陰謀であればまだ溜飲は下がるかなと感じています。


☆さて、以前のエントリーでお伝えした「拉致被害者帰国か?」の一報ですが北朝鮮に具体的な動きがありました。


【ソウル=水沼啓子】8/27
北朝鮮朝鮮中央通信は18日、米国によるテロ支援国家指定解除が延期されたことに初めて言及し、「これは非核化実現の基本である『行動対行動』の原則に対する明白な違反行為」と非難した。韓国の聯合ニュースが伝えた。


以前のエントリーでもお伝えしましたが、ブッシュ政権も、福田政権も、北朝鮮
「焦っている」ことをお伝えしました。

政治は「得点を稼ぐ」のが仕事です。
この時期に【拉致被害者帰国】という外交カードは3者にとって「折り」がつき、政治家として「得点」できる事案なのです。


【社会】
・福田、政権存続へ手柄取り躍起…北相手に成果出せる?
 福田首相が外交の手柄を急いでいる背景には、与党内で“倒閣運動”の兆しが出始めたという事情もある。

http://www.zakzak.co.jp/top/200808/t2008082705_all.html

福田首相拉致問題解決を急ぐには十分な動機があります。

・支持率低迷をサプライズ帰国で政権維持・浮上
自民党の次期選挙への起爆剤
・諸問題(給油問題・公明矢野問題)の世間への目くらまし

これらが高い確率で実行できる政治事案であり、
福田首相の現在の立場をCP分析すればこれは政治道理になります。
福田首相が今なによりも欲しいのは「自公党内」を納得させるだけの「外=世間」からの支持です。


以前のエントリーで福田首相は調整型で「折り」が巧い政治家と述べました。
利害関係にある関係者間を調整をするのに長けた政治家なのです。
福田首相が【拉致被害者帰国】の事案を使って分裂しかけている自公両党内を結束させ自らの求心力を上げ「折り」をつけようとするのは政治道理です。

(政治理念としては腹巻的には非常に憤りを感じますが、コミューン・プロスペクタス【CP】(社会情勢分析学)では一切の私心を除いて分析してお伝えします。ご理解ください)


【社会】8/27
・「得意の瀬戸際外交だが、作業を停止することは表明していても、無能力化を停止するとは言っておらず、相当慎重な証拠。北京五輪が終了し、胡錦濤国家主席が韓国訪問を終えた直後と考えると、北離れが顕著な中国に対する、単なる牽制とも取れる」

早大国際教養学部 重村智計教授

北朝鮮はメッセージを発信しています。
アメリカ(日本)とはやく交渉がしたい!という行動をとっています。
任期が半年を切ったブッシュ政権。本来、北は次のアメリカ大統領と交渉をするつもりでいたはずです。
しかし、世界の情勢(アメリカの事情)が急変してきています。

昨日のエントリーでお伝えした「新・冷戦構造の復活」です。
ドル防衛・ルーブル駆逐・BTCパイプラインの確保
アメリカ(EU)はロシアと緊張状態にありますが【通貨戦争】は始まっていても【武力戦争】は今は出来ない状態です。とても北東アジアにまで関心がいきません。

イスラムテロ問題
・ドル防衛問題
・内政修正問題
パキスタン情勢

北朝鮮を相手にしていられなくなったアメリカがした行動は

「日本じゃ頼りないから中国ちょっと頼むわ」

ということです。核問題さえクリアできればアメリカとしては問題がないので共通問題で利害一致する中国に北朝鮮を任せてしまおうということなのです。
6各国協議の言葉を連発するライス長官の発言の真意は中国へのメッセージです。
これを考えれば、北朝鮮はどちらと交渉する方が「得点」を稼げるか一目瞭然です。

・一時的に核は失ってもテロ支援国家指定解除の点が入るアメリカと交渉するか。

・強烈な圧力によって中国からただ核廃棄だけを迫られ以後、監視されるか。

なぜ、北朝鮮が「核施設の無能力化の作業中断に踏み切った」かがわかると思います。重村教授の言葉をもう一度引用します。

【社会】
「作業を停止することは表明していても、無能力化を停止するとは言っておらず」

重村智計教授


【核施設の停止】と【拉致被害者帰国】という外交カードが価値が高いうちに使おうとするのは政治道理です。
北朝鮮にとっては2つの懸念問題を終らせることもできるのです。

テロ支援国家の解除(世界貿易の復活)
拉致問題の解決(福田首相から解決の言質をとり、国交正常化)


ブッシュ政権としては【北の核問題解決】と【拉致被害者帰国】の旨みは冷戦構造の復活によって時間が経てばたつほど少なくなっています。
しかし、今は旨みがまだ残っています。
同盟国の日本に対し最低限の義理はたち、表面的にでも核問題を解決し北東アジア情勢に一応の一段落はつくというブッシュ政権の「得点」となるのです。


日本・アメリカ・北朝鮮の3者の利害は「今」は一致しています。
これらを分析すると「拉致被害者の年内の帰国」は十分にありえることでしょう。


政権交代、世界情勢の急変が起きればこれらの問題は価値を失います。
イムリミットまで各国の外交戦略は続くでしょう。

今後もCP分析を続けていきたいと思います。