【堂々たる増税】与謝野馨を分析

soesan2008-09-09

【社会】日経NET 09月09日

自民党総裁選候補が乱立の模様である。
乱立雑多の候補の中で特に気になりCP(コミューン・プロスペクタス)分析してみたい人物がいた。

・自民総裁選、与謝野氏が出馬を正式表明
与謝野氏は8日、党本部で記者会見し「我々こそが国を背負って立つんだという気概を十分に持って総裁選に臨みたい」と表明。「改革を行うにしても心優しい温かい改革を目指さなければならない。格差や社会福祉、地方経済疲弊の問題に目をつむることがあってはいけない」と訴えた。

http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt39/20080908AS3S0801B08092008.html


以前のエントリーでお伝えした選挙を睨んだ総裁選であり麻生氏が総裁に収まる事が自公政権の政治道理であることは今も変わりません。
http://d.hatena.ne.jp/soesan/20080901

それは、自民党の長老議員も十分にわかっていると思います。
麻生氏でなければ福田辞任の大きな要因である公明党が納得しません。
キャスチングボードを握る公明党の賛同ある人物でなければならないのです。
そして、何よりも世論調査の麻生氏支持率の数字が如実にそれを語っています。

そんな中、年長議員であり、また世論受けの非常に悪い「非選挙」向けの増税論を政治信念とする与謝野氏。

選挙に【勝つ】ために総裁選をしたはずなのに「非選挙」向きの与謝野氏を担ぐ、自民党の何人かの議員。
総裁選出馬した際に与謝野氏が相談した人物がいます。

中曽根康弘
第71 - 73代内閣総理大臣

中曽根氏は激動の自民党派閥抗争時代を生き延びた政治家です。
三木武夫田中角栄大平正芳福田赳夫
三角大福抗争の修羅場をくぐりぬけ最年長の首相経験者となった人物です。

もちろん与謝野氏が年長首相就任指針のアドバイスをもらったとも考えられます。
政治家は誰でももちろん野心があるものです。
総裁になる野心を持つのは極、自然な政治道理です。


しかし、与謝野氏は時勢に合わない非選挙向け、優れない体調、病歴の過去。
3期連続で首相途中退任とういうことだけは避けたい自民党の事情。
それでも中曽根氏OBはじめ現役の自民党議員も与謝野氏を支持しています。

【政治】ロイター
福田首相が「政権投げ出し」、ささやかれる麻生幹事長への禅譲
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-33539920080901


福田氏から麻生氏への禅譲が噂になっています。
つまりこれは人気のない人から人気のある人への選挙用「出来レース?」
という疑問です。

ここで与謝野氏が出来レース批判回避で出馬した思惑もあるとは思います。
しかし、与謝野氏の政治家としての政治命題はいまや

【堂々たる政治】
・耳障りなことを言う。それが私の仕事である。
http://www.shinchosha.co.jp/book/610257/

堂々たる増税論なのです。
増税論はとにかく選挙受けが悪く必要財政策でも与野党共に言えません。
選挙が近ければなおさらです。
それでも、与謝野氏があえて増税論を言う理由は何か?

「次の総裁になる人物に代わって耳障りなことを代弁する」

つまり、次期総裁が言いにくい、国政を憂えば言わざるを得ないべきことを与謝野氏が全て代弁するのです。
増税論者は与謝野という認識になれば批判は与謝野氏だけに集中し、新総裁へのダメージは少なくなります。
新総裁が与謝野氏を内閣に組み入れることでそれは達成しやすくなります。

ここで、さらに与謝野氏の戦略が光ります。

候補者が乱立し、派閥を超えた投票になりそうな今回の総裁選において与謝野氏は一定の票を安定して確保しています。
これはどういうことかといえば、総裁選途中で他候補に合流する時に多大な票をもって支持することになるのです。
安定した支持を持つ与謝野氏が例えば総裁終盤で麻生氏支持に回ればどうなるでしょう?
これは与謝野氏にとっても政治利益があります。
安定した票で支持する代わりに重要ポストに入り増税論を掲げる。
支持で世話になった新総裁は与謝野氏を無下に断れずという体面も保てる。

与謝野氏の政治命題はもはや【堂々たる増税】になっていると分析します。

・与謝野氏の政治命題は「増税論」である。
・与謝野氏は「増税論」の必要性を語る場を欲している。
・乱立総裁選において票を確保して新総裁に途中で合流する。
・与謝野氏は選挙に弱く、体調も優れない状態である。
出来レース批判回避も狙える。

選挙向きではない与謝野氏だからこそ、選挙受けの悪い「増税論」を語る事が出来るのです。
増税論」の是非を問うために損な役回り覚悟で表舞台に立つ。
これは国の将来を想うが故の政治行動であると思われます。


【税制】2011年度から消費税を10%にすべき…経団連が政府に要望へ★3
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1220935142/

本日、こんなニュースも上がってきました。
こういう大事なことは国民全体で議論しないと是非がわかりません。

与謝野氏からは政治腐臭がしない気がするのはワタシだけでしょうか?
政治腐臭の弱い与謝野氏だからこそ選挙に弱いのかもしれません。
野心だけではなく国を想う大計を中曽根氏と与謝野氏が考えているとすれば素直に感服します。

「なぜ、この政策をする必要があるのか?」

これがきちんと語られ、議論され、国民が判断するのが本来の政治であるとワタクし、腹巻は考えます。