【第三次世界大戦の狼煙、再び】【離間の計】

soesan2008-11-01

【毎日】
メドベージェフ・ロシア大統領:「基軸通貨、多様化を」 G20首脳会議で提案へ

【モスクワ大木俊治】ロシアのメドベージェフ大統領は10月31日、今月15日に米国で開かれる世界20カ国・地域(G20)の緊急首脳会議で、米ドル依存に代わる基軸通貨の多様化などを柱とした国際金融システムの改革案を提起する意向を表明した。経済閣僚らとのG20準備会合で語った。

タス通信によると、大統領は会合で、(1)新たな国際協定に基づく新システムの構築(2)国際金融センターと外貨準備にあてる国際通貨の多様化(3)時代の要請に応じた効果的な危機管理体制の確立−−が改革案の柱になると説明。「(米ドルを基軸通貨とする)ブレトン・ウッズ体制ではなく、各国金融市場の基準が調和されたシステム」を基盤とするよう訴える考えを表明した。

米国発の金融危機が急速に世界に拡大した現在の危機に際し、欧州連合(EU)からも米国を基軸とする既存体制の見直しを求める声が上がっている中で、安全保障だけでなく経済でも米国の一極支配体制を突き崩そうというロシアの戦略を反映した提案と言えそうだ。

 ただ、ロシアの国内総生産(GDP)は米国の約10分の1にすぎず、経済基盤も脆弱(ぜいじゃく)で国際経済での影響力は小さい。今回の金融危機でも外貨準備高が急減し、主要株価や通貨ルーブルが下落するなど深刻な影響を受けている。

毎日新聞 2008年11月1日 東京夕刊

http://mainichi.jp/select/world/news/20081101dde007030013000c.html



世界恐慌により一時収まった感のあったグルジア紛争から始まった第三次世界大戦の火種がまた燻りはじめてきました。
世界恐慌不安の見通し(損害予測)がある程度、見えてきたという一面もあるのでしょう。

今回のメドベージェフ大統領発言の狙いはドルを基軸通貨から外しロシアルーブル基軸通貨にすることではありません。


>ただ、ロシアの国内総生産(GDP)は米国の約10分の1にすぎず、経済基盤も脆弱(ぜいじゃく)で国際経済での影響力は小さい。

>米国発の金融危機が急速に世界に拡大した現在の危機に際し、欧州連合(EU)からも米国を基軸とする既存体制の見直しを求める声が上がっている中

現在のロシアの強みはパイプラインという資源と資源ルートの保持です。
それを強硬に使い主張する作戦は先のグルジア紛争で【どちらが仕掛けた】にせよ
ロシア側に不利になりやすいと悟ったはずです。

アメリカ、イギリス初め西側陣営は【世界的報道網】を持っています。

>戦争は「正当に見える言いがかり」から始まります。

戦争中は【大義】と置き換えられます。

そして、その【大義】はマスメディアを使って広く喧伝されます。

【FOXTV】

・少女は、「グルジア軍から逃げていた。助けてくれたロシア兵には感謝したいです」と発言。そして、叔母が「オセチアの人達は、(グルジアの)サーカシビリ大統領に1日で2000人殺され…」と発言しているところで、司会者は「あ、あ、あ、残念ですが、いったんCM入れます。すぐにまたはじめますからちょっとお待ちください!お待ちくださいね!」と狼狽しながら話を一方的に中断。

http://jp.youtube.com/watch?v=H8XI2Chc6uQ
http://d.hatena.ne.jp/soesan/20080823

そして、米英メディアが過去のおそロシアの幻影を掻き立てた結果、ポーランドやロシア周辺国が米英陣営に頼ってしまうという【ソ連】という過去がどれほどの脅威かをロシアは理解したはずです。
ジャイアンはどんなに弁解してもジャイアンなのです。
アメリカもジャイアンですが・・)

パイプラインを欧州諸国に通していることを強みに強引に物事を推し進める戦略もこれまた、他国の警戒を買い欧州諸国が他エネルギー探しに走り、資源を人質にする戦略はロシアルーブルの下落という【経済弾丸】の引き金を引いてしまいました。ロシアにとって唯一の強み【資源】の価値が下がる懸念も出てきました。


ロシアは戦略を変えます。離間の計です。
脅せばアメリカは【ソ連】の幻影を宣伝し、ヨーロッパ、米英、ロシア周辺国は団結してしまう。
しかし、ロシア資源が深く入っているドイツやフランスは簡単にはロシアの敵にはなれない。

だったら「資源を止めて凍らすぞ」と脅すのではなく

アメリカチャンばっかり強くてもアレじゃね?大体、世界的不況の原因はアメリカチャン発なんだからさ。ドルはもういいっしょ。俺達でなんとかやろうぜ」

という米英と欧州諸国の離間に転じることにしたのです。

>米国発の金融危機が急速に世界に拡大した現在の危機に際し、欧州連合(EU)からも米国を基軸とする既存体制の見直しを求める声が上がっている

ロシアの狙いはルーブルを強くすることもあるでしょうがそれはまだまだ先のビジョンです。今はアメリカ、つまりドルを駆逐することにあります。

ドル駆逐をしようとしているのはイラクフセイン(結果、イラク戦争勃発)からはじまり中東諸国や中南米の反米諸国も狙っています。
欧州もドルに代わる基軸通貨は現在、ユーロがもっとも有力です。
ユーロが基軸通貨になれば【強いヨーロッパ】の復活が見えてきます。
それはヨーロッパの悲願でもあります。

ロシアはそこに戦略を立てたようです。
ドルを駆逐しユーロが基軸通貨になっても【欧州の資源】をロシアは握っています。

ロシアの当面の敵は、アメリカ合衆国に他ならないのです。
また、アメリカも報道戦略を使いロシア周辺国紛争を煽る手段も国策なのです。

第三次世界大戦の流れは休止することはあっても消滅することはあり得ません。
国内問題とともに国際問題のこういった問題も注視することをお勧めします。

すべての流れは私たち、日本人にも無関係では決してありません。
原油価格暴騰による混乱はついこの間のことです。
食品、食糧問題も一向に解決していません。食糧(生産)もまた資源です。

来るべき時に向け、今どんな最善の準備、リスクコントロールができるか。
過去を反省し勉強し未来へ活かすことが最大の成功だと思います。